企業風土とオペレーション
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変革とか改革などという言葉を軽々しく用いる経営者はいないと思います。自社の存在価値や今までの努力や成果を、共同体の長が安易に否定することは慎むべき事でしょうし、勝算なくして多大なエネルギーの投入を示唆することもできないでしょう。そもそも、変革が求められる企業などはごく僅かでしょうし、変革が必要なほど企業価値が棄損されているなら、悪あがきせずに退場するほうが社会全般からみれば合理的であるとも言えます。自社にある強みを磨き、弱みをコントロールして利益を増やし続ける事、つまり付加価値創造力の漸進的強化こそが企業の本質的命題です。イノベーションといえるような際立った成果も、継続的な努力が絞り出した一滴であるということを、ビジネスの現場で育った方々なら良くご承知の事でしょう。DXというようなあやふやなものでは、自社の付加価値創造力の強化にはつながりません。
私たちが付加価値創造力のひとつの源と考えるポイントは、現場と経営が共通して持つ価値観と行動特性、つまり組織風土です。かつては日本企業の強みとされた組織風土ですが、今ではリスクや弱点となっていると思われます。日本人が多数を占める組織である以上、欧米企業のようなガバナンスやオペレーションマネジメントが最適のものであるとは思えません。今日的な課題に立ち向かえる組織風土とマネジメントシステムに脱皮することが日本企業に求められています。この取り組みは変革というような急進的なアプローチではなく、きめ細かい施策を忍耐強く継続する必要があり、また その実行は経営者にしか主導出来ません。